TOKYO TRAVELOGUE東京紀行

美と知的好奇心を満たすサプリメント

2023 Summer

つい先日、今年も折り返しを迎えた直後の、ある梅雨の合間。
蒸し暑い日本の夏を十二分に感じながら、本駒込の「東洋文庫」を訪れた。

東洋文庫

もう十年以上も前のハナシ。
雑誌かなにかで見た「モリソン書庫」の圧倒的な美しさに目を奪われ、記憶の片隅にその光景が残っていた。

ここは三菱の第三代社長、岩崎久彌が1924年に設立した、日本最大・最古にして、世界でも5本の指に入る東洋学の研究図書館であり、ミュージアム。
建物自体は一見シンプルだが、外観の一部に施されたディティールの装飾なども美しい。

因みに「東洋」とはトルコ(イスタンブールのボスポラス海峡)以東のこと。
社会人1年目の夏にたまたま訪れていたトルコ共和国。
まさに東洋と西洋の間で、灼熱の太陽と深く濃い空を感じながら、サバサンドを頬張ったのを思い出す。

館内に足を踏み入れると、この日は「東洋の医・健・美」という企画展が開催されていた。
常設展示に加えて、その企画に沿った展示が行われている様子。

健康と衛生を保ち、安らぎを得る場として人々から愛された各地、各時代の「お風呂」事情、医療や科学技術が発達する以前、病や厄災身を守るためにすがった「お守り」の数々などなど、古来アジアの人々がどのように、不調や怪我、病気などと向き合ってきたのか、所蔵する名著等で辿っている。

吹き抜けに面する階段を上ると、いよいよ待ちに待った「モリソン書庫」。
古書とその古書が持つ独特な香りに包まれながら、中世に迷い込んだような異空間にしばらく身を委ねた。

そして終始、解説を熟読しながら、この時代にこの知見?という驚きと再発見の楽しく美しく知的な旅のような充実した時間だった。

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