TOKYO TRAVELOGUE東京紀行

タイルアート界のルーブル美術館

2024 Summer

梅雨も明け、うだるような暑さが堪える7月の文京区本郷。
予定よりも早く着き、待ち合わせ時間に余裕があったのでずっと気になっている場所に行ってみることにした。
春日駅から菊坂を抜け、古書店や老舗の喫茶店が立ち並ぶ目貫通りの少し手前にお目当ての建物はあった。

鳳明館。
本館は明治時代に建てられた登録有形文化財であり、その隣には台町別館、歩いて数分のところには森川別館と、3つの建物で構成される。

今から4年前、上京したての社会人1年目。
学生時代から愛読する雑誌に載っていて、その存在を知った。
そこにはカラフルな壁面のタイル画や今となっては作られていないクラシカルなタイルを纏った独特な形のお風呂があって、マニアにはたまらないそのノスタルジックな様から「まさにタイルアート界のルーブル美術館」と賞されていたのが今でも印象に残っている。

目の前には、いかにも老舗旅館然とした建物が鎮座し、周囲の住宅街と別世界の崇高なオーラを放っていた。それもそのはず、この建物自体、120年を超える時を重ねているのだ。この時期になると、庭の青紅葉が街に彩りをもたらしていた。秋には紅葉が池や鯉、灯篭、庭石、鶴亀の置物などの色々なものに囲まれ、箱庭のような愉しさを味わうことができるらしい。

かつては下宿屋兼旅館として営業していた名残で、当時の雰囲気がそのまま味わえる売店も現存。ここは老舗旅館としての威厳もありつつ、何とも言えない懐かしさも兼ね備えた、まさに昭和レトロのど真ん中。
ゆとり世代やZ世代界隈では、ブームがここ数年続いているようだが、間違いなくウケるに違いない。

コロナ禍でしばらく、「ルーブル」を堪能するタイミングを逃していたが、今は日帰り入浴も利用可能とのこと。ただ、今日は何よりも大事な用事がある。
今年の秋には必ずリベンジを果たそうと誓い、後ろ髪をひかれながらその場を後にして、旧友が待つ喫茶店に直行した。

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